ハウスメーカーや工務店に家づくりを相談すると資金計画を作成してくれます。
作成してくれた資金計画に合わせて、家づくりがスタートするわけですが
資金計画通りにいかないじゃん。
と思っている方がいらっしゃるかもしれません。
これには、はじめの予算の伝え方に問題があるのかもしれません!
予算や要望の伝え方次第で、最終的に予算よりも高額な資金計画にならずに済むかもしれません。
また、今回は「安さ」をアピールする住宅会社のキケン性についてもご紹介していきます。
家は高い買い物なので、安ければ安いほど家計には嬉しいですが、危険がいっぱいなのです!!
【ハウスメーカー編】資金計画を予算内に収める方法
ハウスメーカーは金融機関から借りられる住宅ローンの金額と自己資金(頭金)の金額から資金計画を作成していきます。
住宅ローンの金額と自己資金を合わせた、購入者が出せるMAXの金額で始めから資金計画を立てているのです。
ハウスメーカーに相談した時点で、自分が金融機関から借りられる住宅ローンの金額を知らないと、予算の金額をハウスメーカーに操られてしまいます。
という流れとなり、毎月の返済額などについて自分で把握する前に、ハウスメーカーが金融機関から借りられる住宅ローンの最大金額と自己資金額で資金計画を作成してしまいます。
これでは、家が建った後に住宅ローンの返済に苦しむことになりかねません。
つまり、ハウスメーカーに相談する前に必ず自分で予算を知る必要性があるということです。
予算を知る方法については、こちらで詳しくご紹介しています。
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また、ハウスメーカーが作成する資金計画は借りられる住宅ローンの最大金額と自己資金(頭金)の金額の合計金額から逆算して立てられるので、坪単価もそれに合わせて決められます。
なので、決まった金額はなく購入者の出せるMAX金額に合わせて坪単価を決めるという流れになっているのです。
坪単価の設定が100万円以上の高額なハウスメーカーの場合は、購入者の出せるMAX金額に収まらずもっと高額な資金計画を出してくることもあります。
例えば
建物の購入希望価格を40坪で3500万円とハウスメーカーに伝えると・・・
坪単価は逆算して87.5万円として、見積金額が3500万円の資金計画を提案されることになります。
ハウスメーカーから資金計画を出してもらうために予算を伝える時は、始めから出せるMAX金額を伝えてはいけません。
一番最初に提案される資金計画から打ち合わせを進めて要望をさらに盛り込むことで、見積金額は高くなるものです。
始めは少なめに伝えることで、坪単価を抑えて要望を盛り込んで予算内に収めることができます。
【工務店編】資金計画を予算内に収める方法
どんぶり勘定というのは、簡略な資金計画しか出してくれないということです。
工務店には
とだけしか見積金額を教えてくれない会社があります。
このようなどんぶり勘定の資金計画では、トラブルに発生する可能性が高まります。
どんぶり勘定で発生するトラブル
- 契約時の金額が「だいたい」なので、打ち合わせをする中で金額の増減が発生してしまう。
- 金融機関の貸付条項などの確認が不足することによって、借入金支払計画(主に着工金、中間金、最終金)が曖昧となり、支払いトラブルが発生してしまう。
- 見積金額も「だいたい」なので、追加費用が発生してしまう。
- 補助金や助成金に関する情報も少なく、お金が下りないことも。
なぜこのようなどんぶり勘定になってしまうのかというと、工務店では使う材料や工法が決まっていないからです。
そのため、どんぶり勘定のままで予算が足りなくなってしまうと、「材料の手抜き」が発生してしまうこともありまうす。
工務店がしっかりとした資金計画を出してくれているか判断するために、どんな金額が計画に入っているのかをチェックする必要があります。
資金計画の項目
- 借入金額
- 返済計画
- 建築費(本体建物、外部付随工事)
- 諸費用(登記や税金)
- 各種利用可能な助成金
- 新居準備金(引越し、家具、カーテン) など
良心的な工務店であれば、金融機関と相談をしたり、専属契約をしているファイナンシャルプランナー(FP)の診断を実施した上で資金計画を提案してくれます。
簡単な資金計画や資金計画の項目が抜けている工務店は要注意です。
工務店から資金計画を出してもらうために予算を伝える時は、ハウスメーカーとは異なり
工務店はハウスメーカーよりも駆け引きが苦手なことが多く、
とプランを作成してくる工務店が多いです。
そのため、予算と同時に要望を優先順位と一緒に伝えると、資金計画に盛り込んでくれると思います。
「安さ」のキケン性
安く家を建てられるかも!
ここからは「安さのキケン性」についてご紹介していきましょう
まず、家の価格の決まり方を知っておこう!
家の価格=原価(材料費)+労務費(作る人への報酬)+会社の経費+会社の利益
これは、ハウスメーカーでも工務店でも項目は同じで、割合が違います。
ハウスメーカーの場合、大量生産のため材料原価が抑えられ、作業効率を上げることで労務費も抑えていますが、関わる人材が多く会社の経費は高くなってしまいます。
工務店では、受注数が少なく材料にもこだわっていることが多く原価が高くなりがちです。
また、職人の技術に頼るため労務費も高くなります。
その代わり、会社の経費や利益を抑えている会社が多いです。
というイメージを持っている方が多いですが、工務店の方が大量生産できないため原価を抑えることが難しかったり、技術の高い職人ほど報酬が高額になるため、価格は高くなります。
価格を下げるには、安い材料に変えたり、経験値の低い職人を雇うことになりますので家の品質が心配になってしまいます。
ローコスト住宅の安さの理由とは?
ローコスト住宅は「安さ」をウリにしている家ですよね。
一般的に坪単価40万円以下で総額1000万円台の住宅をローコスト住宅と言われています。
坪単価20万円台の住宅はスーパーローコストと言われています。
そんなローコスト住宅ですが安さの理由は何なのでしょうか?
先ほどお話しましたように、家の価格には原価・労務費・経費・利益が入っています。
そのため、家の価格を下げるためには何かの価格を下げなければならないのです。
工務店が安くする場合、価格の安い材料に変えたり、職人の技術力を下げることに繋がるとお話しましたが、ローコスト住宅の場合は原価・労務費・経費全てを削って安く家を販売しています。
特に削られやすいのが原価と労務費です。
原価を抑える方法としては
- 注文するサッシを全て同じサイズにする
- 使用するサッシを極力小さく、少なくする
- 在庫セール品を大量購入する などです。
また、労務費を抑える方法としては
- 職人の賃金を削る
- 安い賃金の職人を雇う
- 1人の職人に何棟も発注し、1棟当たりの労務費を削減する などです。
このように聞くと
と心配になると思いますが、安く家が手に入れられるというところに目が行ってしまい見えていない方が多いんです。
ローコスト住宅は全てこのように家が建てられているとは言えませんが、安く家を建てるということは品質を犠牲にしているのと同じです。
もちろん、ローコスト住宅を営業している営業マンは、マイナスなことは言いません!
ローコスト住宅は「安さ」しかアピールポイントがないということを知っておきましょう。
意外とかかる光熱費
ローコスト住宅は原価である材料費を抑えているため、断熱性能と気密性能に不安があります。
光熱費は断熱性能と気密性能に大きく左右されるため、ローコスト住宅では月々の光熱費が高くなる傾向があります。
せっかく安く家を購入しても、生活するために必要な光熱費が通常よりも高くなってしまうと、ローコスト住宅ではない方が結果的に安くなるかもしれません。
光熱費だけでなく、ローコスト住宅で建てた家は原価や労務費を抑えているため、メンテナンスにも費用がかかってしまう可能性が高いです。
ローコスト住宅など安く家を建てるということは、家の安全性を下げるということに繋がります。
できるだけ安くしたい!ということもわかりますが、適正価格で購入しないと家族にも危険を及ぼす可能性がありますので、「価格の安さ」に関しては慎重に検討する必要があります。
今回はハウスメーカーや工務店の資金計画、ローコスト住宅についてご紹介しました。
品質に問題ない家を建てるためにも、しっかりとした資金計画かどうか自分で確認できるようにしておくことをおすすめします。